『葬送のフリーレン』 第二考 勇者ヒンメル

勇者ヒンメルは、ハイターとともに戦災孤児として孤児院で育った。
でも、彼にはその屈折が感じられない。
ただ一途に人を思い、困っている人を見捨てず、どんな小さな問題も見過ごさない。
そんな彼の生き様が周りの人たちに伝染していく。
勇者一行の僧侶ハイターもそのひとりだ。
彼は晩年、柄にもなく崖の上から飛び降りようとする幼い少女フェルンを救い面倒をみていた。
フリーレンからその理由を聞かれた彼は、
「勇者ヒンメルならそうしました。」と、答えている。
(第1巻 第2話 「僧侶の嘘」より引用)
そして、もうひとり。
フェルンとともに一級魔法使いの試験に合格した北部魔法隊隊長のヴィアベルがフリーレンにこう言っっている。
「勇者ヒンメルが死んで、魔族の残党が暴れ始めてからよくわかったよ。
確かに『千鏡の塔』も『ベーゼ』も『皇獄竜』も、魔王すら俺の村には関係ねぇわな。
みんな日々の生活を守るので手一杯だ。
きっと勇者ヒンメルが俺の村に来なかったら、世界が平和になってもそこに俺の村は無かったんだろうな。」
「俺をここまで連れてきたのは、勇者ヒンメルのくだらない冒険譚だ。俺が言いたいのはそれだけだ。」と。
(第7巻 第59話 「小さな人助け」より引用)

ヒンメルは、フリーレンにどうして人助けをするのかと聞かれてこう答えている。
「誰かに少しでも覚えておいてほしいからかもしれない。
生きているということは誰かに知ってもらって覚えていてもらうことだ。」
そして覚えていてもらうためにはどうすればいいのかと聞かれたヒンメルは、こう続けている。
「ほんの少しでいい。誰かの人生を変えてあげればいい。きっとそれだけで十分なんだ。」
(第5巻 第47話 「フェルンと焼き菓子」より引用)

たいてい、人は自分のことで精一杯だ。
自分のことで精一杯ってことは、自分のことしか考えていないということだ。
人のことなど心配している暇はない。
だから、その『ほんの少し』がとても難しい。
わが同志社校友会の校友の方の中には、卒業以来毎月千円を継続して寄附されている方もいらっしゃいます。
頭が下がる思いです。

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同志社校友会沖縄県支部
HP担当 藤原良之
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