「得意を磨き 研究の最前線を切り開く」One Purpose 夏号 Vol.207から
『渡り鳥の脳内に、北の方角を向くと活発に活動するコンパスのような細胞を発見した。』
今年2月、同志社大学大学院脳科学研究科高橋晋教授が名古屋大大学院環境学研究科と共同で研究成果を発表されました。
いま、社会に大変革を引き起こしているAI、人工知能。それは機械に人の脳の代わりをさせ、また、人の脳を飛躍的に拡張させようとする試みです。言わば、外付けSSDみたいな...確かに情報処理能力、記憶容量こそ人の脳を遥かに凌ぎますが、今はまだ人の脳の一部を補助しているにすぎず、人が与えた所与の基準に沿って判断する機械にすぎません。人を含めた生き物の脳には、まだまだ未知の領域が限りなく広がっているのです。
「何の目印もない空を、なぜ渡り鳥たちは数千キロ先の越冬地まで迷わず飛んで行けるのか。その解明に一歩近づいたとの期待が高まった」のです。
高橋教授は新潟県粟島で営巣するオオミズナギドリの幼鳥の頭に測定機器を取り付けて、様々な方向に歩かせて脳神経活動のデータを収集、幼鳥の頭が北を向いたとき、活発に活動する「頭方位細胞」を発見。
新たなヒナが巣立つ今秋には、更に詳細に「頭方位細胞」と地磁気との関係を調べる予定とのこと。
『脳の活動を調べる装置は研究室では有線(ケーブル接続)ですが、野外で行なった今回は、無線のシステムを投入しました。脳の活動と機械を繋ぐ「ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)」の研究でも使われる最先端の機械です。我々がしている研究は、今は人間の役に立つものではないでしょう。でも、野生動物でいろいろ試した技術がBMIの要素となり、未来で繋がっていくのではないかなと、実は思っています。』
『私がそうであるように、(学生たちにも)自分が得意なことを見つけ、伸ばしてほしいと思っています。自分の得意を見つけのは難しいことですが、せっかく長い学生時代、好き嫌いせずいろんなことにチャレンジし、継続的にやってみて、得意なものを見極めてほしいです。』と高橋教授。
自分のやりたいこと、好きなことを見つけ、自分の得意を見極め、それを生涯の仕事にしていく。素晴らしいことだと思います。一度しかない人生、斯く在りたいものです。
この学舎から、また、新たな時代を切り拓く人材が出てくることを期待しています。
※One Purpose 2022 Summer/Vol.207より
夏号のテーマは、「『働く』の未来」です。為になります。
☐☐☐ きょうの言葉 ☐☐☐
※ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)
脳波等の検出、或いは逆に脳への刺激等といった手法により、脳とコンピュータなどとのインターフェイスをとる機器の総称
※インターフェイス
「境界面」「接点」、転じて、異なる2つの機器を仲介する機器、システム
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文責:HP担当 藤原
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