同志社大学新学長 小原神学部教授インタビュー

同志社大学新学長 小原神学部教授インタビュー

「良心」概念をアップデートして、同志社を深山大沢に。

本年4月1日付で神学部の小原克博教授が同志社大学の新学長に就任されました。
「ONE PURPOSE2024年春号」にそのインタビュー記事が掲載されておりますので、紹介させて頂きます。

小原新学長は、
「一緒に楽しいことをしたい、というのが私の基本なんです。
この同志社で共に働き、共に学ぶ人たちが、面白いな、楽しいな、と感じること。
研究にしても教育にしても、そこからエネルギーを汲み上げていくことで新しいものが生まれてくるのではないでしょうか。」
「大学としてそういう対話の機会、プラットフォームを作る取り組みが欠かせません。
そこはやはり学長としての私の仕事だと思います。」
と抱負を述べておられます。
また、インタビュアーの桝助教の
「さまざまな専門知を架橋して総合知へと昇華していくことが、総合大学としての同志社には求められていて、そのベースになるのが「良心」ということになるのでしょうか。」
との問いかけに、
「良心という言葉は、CONSCIENCEの訳語として明治時代に登場しました。
本来の語の成り立ちから言えば「共に知る」が原義ですが、明治の人々は『孟子』の中の「良心」を当てた。
だからどこか儒教的な、既存のの社会秩序に従うニュアンスがあったのです。
新島はキリスト教と結びついたCONSCIENCEを大事にしたので、儒教由来の「良心」を使うことにためらいがあったのだと思います。
さてそれでは誰と「共に知る」のか。
一つは、内なる他者(自己)と共に知る。
自分の内面の声を聞く「個人的良心」です。
二つ目は、外部の他者(第三者)とともに知る。
社会を構成するさまざまな人と課題を共有し、五位を形成しようと努める「社会的良心」です。
そして三つめ、超越的他者と共に知る。
これは端的に「信仰的良心」と言っていいでしょう。
深く内面化された良心は、時に社会通念に対する挑戦にもなり得ます。」
「私学・同志社が、どんな学校として始まったのか。どんな願いを託されてきたのか。
それをもう一度みんなで共有することで他の大学にはない同志社独自の価値を打ち出すことができると思うのです。
・・・同志社には、他の大学がやろうとしてもできない独自の価値がある。
新島の言葉もそうですし、このキャンパスそのものもそうです。」
同志社の歴史を知った上でキャンパスを歩くと、また違った風景が見えてくると思うのです。新島は晩年、「我が校をして深山大沢のごとくになし、小魚も生長せしめ、大魚も自在に発育せしめ」「深山大沢、龍蛇を生ず」をキーワードのように語っています。
今のキャンのパスの風景の向こうに、次代の「深山大沢」を見たい。」

どんな次代の『深山大沢』が現れるのか楽しみです。

※深山大沢
中国の古典『春秋左氏伝』の一節、「深山大沢、実生龍蛇」に基づく四字熟語。
深山は深い山、大沢は大きな池。龍蛇は龍のような立派な人物を指す。
つまり、「深山大沢」は、深い山や大きな池のような環境でこそ、龍のような立派な人物が生れるというたとえ。
新島襄はこれを大学の理想像とした。

※ネクスト「深山大沢」プロジェクト
小原学長は、同志社礼拝堂で定期的に開催している公開シンポジウム「ネクスト『深山大沢』プロジェクトを主催されています。
昨年6月にはこのホームページでも「宇宙開発とSDGs、『深山大沢』としての宇宙」と題したシンポジウムを取り上げています。
今年1月25日に日本で初の月面着陸に成功したJAXAの小型月着陸実証機SLIMに搭載され、歴史的偉業を達成した小型変形型月面ロボット「SORAーQ」の開発に長年携わってこられた生命医科学部の渡辺公貴教授の取り組みを紹介させて頂きました。

宇宙開発とSDGsーーーネクスト「深山大沢」としての宇宙

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文責:HP担当 藤原
mailto:info@okinawa.doshisha-alumni.org

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